ピーク検出のパラメータ

 

最小検出高さ

ベースラインからの高さが最小高さ未満のピークは除外されます。

 

グラフ-1:最小検出高さ:20uV     最小検出面積0.2uV*min

 

 

ピーク3とピーク4は、ベースラインが共通な不分離ピークです。

ピーク3の面積は、水色のエリアの面積となり、ピーク4の面積はオレンジ色の面積となります。

 

グラフ-2:最小検出高さ:200uV   最小検出面積0.2uV*min

 

最小検出高さを20uVから200uVに変更すると、ピーク126が除外されます。

ピーク3は、ピークの山と谷の差ΔHが最小検出高さ以下なので非検出状態となり、ピーク4の面積は、オレンジ色の面積となります。

 

※最小検出高さの設定値を小さくし過ぎると、ノイズをピークとして誤検知するため正しいピーク検出ができない場合があります。

 実際に検出したいピークの最小値に近い値を設定してください。

 

最小検出面積

ピーク面積が、最小検出面積以下のピークは除外されます。

 

グラフ-3:最小検出高さ:20uV     最小検出面積10uV*sec 

 

グラフ1の検出条件から、最小検出高さを20uVのままで、最小検出面積を0.2uV*minから、10uV*min に変更すると、ピーク1236が除外されます。

ピーク4の面積は、オレンジ色の面積となります。

 

最小検出幅

ピークスタートとピークエンドの距離が最小検出幅以下のピークは除外されます。

 

グラフ-4:最小検出幅:0.01min

 

グラフ-5:最小検出幅:0.1min

 

最小検出幅を0.01minから0.1minに変更すると、ピーク123456が除外されます。

 

スロープ

ピークの開始と終了を検知するためのパラメータです。

スロープの傾きが設定値以上となった時間をピークスタートとして、スロープの傾きが一定値以下となった時間をピークエンドとします。

設定値が低すぎると、ドリフトによる信号の変動をピークとして認識する可能性があり、設定値が大きすぎるとなだらかなピークが検出されない場合があります。

 

グラフ-6:スロープ:70uV/sec

ピーク1のスタートとエンドを、ドリフトによるスロープの変動により誤検知しています。

 

グラフ-7:スロープ:90uV/sec

スロープの値を大きくすると、ピーク1のスタートとエンドは正しく検知されていますが、ピーク6が検出されなくなりました。

 

リテンションタイムが長いピークほど、ピークはなだらかになる傾向があります。

リテンションタイムによりスロープの変動を補正するファクタを導入する事で、リテンションタイムの長いピークに対しても適正なスロープ値を設定する事ができます。

詳細は、ダブルウィズタイム(DWT)を参照してください。

又、解析シーケンスの機能を使うことで、それぞれのピークに対し、適切なスロープ値を設定する事ができます。

詳細は、解析シーケンス−区間毎にピーク検出条件を変更 を参照してください。

 

ドリフトファクタ

ベースのドリフトが大きい時に設定するファクタです。

設定値は、010000の値で、無単位のパラメータです。

値が大きくなるほどベースのドリフトに追従したベースラインを引くことができます。

グラフ-8:ドリフトファクタ:0        最小検出幅:0.2min

 

グラフ-9:ドリフトファクタ:500     最小検出幅:0.2min

 

グラフ-10:ドリフトファクタ:2000   最小検出幅:0.2min

 

ドリフトファクタが0より大きな値が設定されている場合は、最小検出幅の数値を小さくすると、ドリフトに対する追従度が高くなります。

 

グラフ-11:ドリフトファクタ:300     参照検出幅:0.07min


 

ダブルウィズタイムDWT

リテンションタイムの長いピークのスロープ値を補正するためのファクタです。

ピークの半値幅が2倍になる時間をdwtとすると、リテンションタイムrtの補正されたスロープ値は下記の値になります。

 

スロープ補正値 =スロープ設定値×2-rt/dwt

 

グラフ-7のクロマトデータを、スロープ値は変えずに、DWT10.0minに設定して波形処理を行うと、以下の結果となります。

 

グラフ-12DWT10.0min スロープ:90uV/sec

 

DWT0に設定すると、全ての時間範囲に対して、補正しないスロープ値を適用します。