ピーク面積の計算方法 |
クロマトグラムの波形は、以下の位置情報を基に、ピーク高さ、ピーク面積の計算が行われます。
・ピークトップ
・ベーススタート・ベースエンド
・ピークスタート・ピークエンド
■ベースラインの検出
ベーススタートは、ベースラインのスタート地点で、クロマトグラムデータの増加率(スロープ)が一定のレベル以上となった時に検知されます。
ベースエンドは、ベースラインの終了地点で、クロマトグラムデータの減少率が一定のレベル以下となった時に検知されます。
ベースとなりうる領域は、クロマトデータが一定の平坦性を保っている必要があります。
それ以外の領域で上記条件を満たしても、ベーススタート、ベースエンドとは認識されません。ベースラインの平坦性は、ドリフトファクタ により設定されます。
ベーススタート、ベースエンドの位置は、「スロープ」の値によって位置が変わります。
複数のピークが隣接して存在する場合、一つのベースライン上に分離されない(不分離の)ピークが複数個存在する事があります。
この場合、個々のピークのエリアは、ピークとピークの間のデータが最小となった地点からベースライン引いた垂線で区切られます。
このようなピークの分離の方法を「垂直分割」と呼びます。
○垂直分割
ピーク1とピーク2の間のデータの最小地点は、ピーク1のピークエンド、ピーク2のピークスタートとなります。
ピーク1のピークスタートは、ベーススタートと同一地点となります。
ピーク面積は、クロマトデータ曲線と、ピークスタートおよびピークエンドからベースラインに垂直に引いた分割線、ラインに囲まれたエリアの面積となります。
ピークスタート、ピークエンドの位置を移動したときは、ピーク面積のエリアは下図のように変化します。
ピークスタート、ピークエンドの位置を移動する方法は、解析−マニュアル波形処理−ピークマーカ を参照してください。
ベースラインを下図のように引くと、二つのピークは完全分離ピークとなります。このような分割方法を「谷渡り」と呼びます。
ピークの分割方法を「垂直分割」とするか、「谷渡り」とするかは、クロマトグラムの波形と、波形解析パラメータの設定で決まります。
また、解析シーケンスのファンクションで、強制的に「谷渡り」とすることもできます。
○谷渡り
大きな主ピークのテーリングまたはリーディング上に存在する小さなピークをショルダーピークと呼びます。
ショルダーピークが存在するときは、テーリングまたはリーディング上にショルダーピークのベースラインを引き、ショルダーピークの高さおよび面積を求めます。
水色の面積は、主ピークの面積で、緑色の面積はショルダーピークの面積となります。
テーリング側のショルダーピークの検出方法
主ピークのピークトップから最初に検出された変曲点から、主ピークのベースエンドの間で、クロマトデータと交わらない接線を引きます。
接線をショルダーベースラインとして、ショルダーベースライン上に検出されたピークをショルダーピークとします。
ショルダーピークの開始位置をショルダーピークスタート、終了位置をショルダーピークエンドと呼びます。
分離しているショルダーピークは、ショルダーベーススタートとショルダーピークスタートの位置、およびショルダーベースエンドとショルダーピークエンドの位置は一致しています。
ショルダーピークからショルダーベースラインに引いた垂線の長さがショルダーピークの高さとなります。
クロマトデータ曲線と、ショルダーピークスタートおよびショルダーピークエンドからベースラインに垂直に引いた分割線、ベースラインに囲まれたエリアの面積がショルダーピークの面積となります。
ショルダーピークスタート、ショルダーピークエンドの位置を移動したときは、ピーク面積のエリアは下図のように変化します。
ショルダーピークスタート、ショルダーピークエンドの位置を移動する方法は、解析−マニュアル波形処理−ショルダーマーカ 参照してください。